骨盤矯正の資格とは?

「骨盤矯正」の文字は、
チラシなどの広告や、店頭の看板、のぼりなどでも見かけますよね。

でも、いろんなところでやっているから、迷いますよね。
どこでやってもらうのがいいのでしょうか。


では、骨盤矯正に関係するお店を、
持っている資格別にみていきましょう。




☆整体院

やはり骨盤矯正といえばここではないでしょうか。
「体を整える院」ですからね。体のゆがみも正してくれそうです。

整体院で働く整体士は、どんな資格を持っているのでしょうか。

実は、整体士という資格はありません。

それどころか、整体という決まった治療方法自体がありません。
国が定めた学校のカリキュラムがあるわけではないですし、
知識や技術を求められる試験もありません。

脱サラして整体院をやっている方や、
家計の足しにしようと自宅の一室でやっている主婦などもいます。

施術内容も、ほとんどが自己流で行っています。


☆カイロプラクティック院

カイロプラクティックとは、
背骨から骨盤にかけての骨をととのえることで治療を行う手技療法です。

骨盤と最も関係の深いところかもしれません。

発祥国であるアメリカやヨーロッパでは、国が定めた法的な免許があり、
広い知識と高度な技術を持ち、専門性のある医療として認知されています。

しかし、
日本においては、国が認可した資格ではありません。

国家資格ではないので、だれでもカイロプラクターを名乗ることができます。

院内に「〇〇カイロプラクティック協会認定」なんていう立派な賞状を掲げている店もありますが、
授業料を払って数日間の講習に通うと賞状をくれるという資格商法もありますので注意が必要です。


☆接骨院・整骨院

名前は違いますが、
両方とも『柔道整復師』という国家資格を持った人が施術しています。

基本的に医療関係の国家資格は、
国が認定した学校を卒業し、国家試験に受かった人に与えられます。

この資格は、柔道の現場でのケガの応急処置の技術が元になっていて、
骨折、脱臼、捻挫、打撲、肉離れなどの治療を専門に行います。
上記の症状には健康保険が使えます。


もともとは骨折を治療するという意味の「ほねつぎ」→「骨接ぎ」→「接骨院」という名前だったのですが、現状では院の名前が統一されておらず、整体院とも混同してまぎらわしい印象を受けますね。
院内に厚生労働大臣の名前が載った柔道整復師免許が掲げてありますので、確認してみてください。


すでに柔道整復師の資格を持っていても、
施術の幅を広げようと様々な講習会やセミナーに通い、資格取得をしている人もいます。
例えばテーピング講習会や救急救命講習、カイロプラクティックのスクールなどです。
その一環で骨盤矯正を取り入れている人もいます。


☆マッサージ院

『あん摩・マッサージ・指圧師』という国家資格を持った人が施術しています。

しかし、
〇〇式マッサージ、リンパマッサージ、クイックマッサージなど、
いろんなマッサージがありますが、そのほとんどが無資格です。

本当は「マッサージ」という名前は、
あん摩・マッサージ・指圧師しか使ってはいけないという法律があるのですが、
現状ではうやむやになっているようです。

柔道整復師のように、
厚生労働大臣の名前が載った免許証が掲示してありますので、それを確認してください。

それが無い場合、
施術者のほとんどは、数日間お店の講習を受けただけのシロウトや、学生のアルバイトです。


あん摩・マッサージ・指圧師の資格を持った上で、骨盤矯正をやっている場所もあります。


☆整形外科

『医師免許』をもった国家資格の医師がいる病院ですね。

恐らく、医師のいる病院で骨盤矯正をしているところはほとんどないのではないのでしょうか。

それは、骨盤矯正の効果は科学的根拠が無いないからです。


現代医学が骨盤矯正の効果を実証できないのは、
骨盤についての十分な研究がなされていないからだという意見もあります。

しかし考えてもみましょう。厚生労働省の統計によると、
日本における年間の腰痛患者数は2400万人(平成16年)だそうです。
この統計は整体院でもカイロプラクティックでもなく、病院に来院した患者数です。
世界の腰痛患者数は正確に統計できないでしょうが、日本の比ではない事は確かです。
それだけの数の患者さんを日々診察する世界中のお医者さんは、
誰も骨盤の歪みに気づかないのでしょうか?
骨盤の研究をしようという志の高い医師はいないのでしょうか?

そんなことはありません。腰痛治療にあたる医師の中でも、臨床経験として骨盤の歪みを感じている人はいます。
ただ、「骨盤が歪む」という、第三者が見てもはっきりと納得できるような証明が出来ないのです。


医療は『再現性』が重要です。
再現性というのは、同じ治療した場合、同じ結果が現れるということです。
つまり、
全く同じ治療内容を施した結果、Aさんは治ったのにBさんは悪化した
ということが当たり前に起きるものは信用できないのです。

例えば、
薬は国内で認可されるまでに数多くの実験と長い時間をかけて研究が行われます。
その薬でさえ、再現性は100%にはほど遠いものです。
全ての人に効くどころか、副作用が出たり、逆に症状が悪化したというケースも出てしまいます。

医師が、薬よりもはるかに再現性に乏しい骨盤矯正をやらないのは当然です。






もちろん、
無資格の人の中にも、独学と努力を重ね、豊富な知識と技術を持った人がいるかもしれません。
ですがその知識や技術は、国家資格という公平なフィルターを通したものではありません。
国家資格を持っているかどうかは、
人体を扱うにふさわしい最低限の知識を持っているかの判断材料になります。

ですが、たとえ国家資格を持っていても、全てが信頼できるわけではありません。
特に、国家資格を持ち、医学的な最低限の知識があるはずなのに、病院に通っても治らない患者さんの弱みにつけこんで、医学的根拠のない骨盤矯正でお金を稼ぐという確信犯もいます。





とはいえ、患者さん側からすればとても分かりにくいと思うので、
国家資格の有無について、簡単な見分け方をお教えしましょう。

医療関係の国家資格は、法律によって広告の制限があります。
施設の名前や場所、連絡先、院長の名前など、
広告に記載できる内容が厳しく決まっているのです。

よって、
  • 「〇〇を改善します」などという、治療や商品の『効果』
  • 「治療前」→「治療後」の写真やイラストを用いた『効果について誤解を与えるもの』
  • 「1回〇〇円」などという『値段』
  • 「有名人の〇〇を治療した」「テレビや雑誌で取り上げられた」などという『経歴』
  • 「イベント告知」や「粗品進呈」などの『人集め』
  • 「体にやさしい、痛くない施術」など、『主観的なもの』

など、
これらの記述を広告に載せることは法律で禁じられています。

このような広告を見かけたら、
法律の規制の枠から外れた無資格者がおこなっていると判断できます。