骨盤矯正で身長が伸びる?

たまに見かけるのが、
「骨盤矯正で身長が伸びる」と言ったものです。

その理由として、
①O脚矯正など足がまっすぐの状態となり、身長が伸びる。
②骨盤のゆがみが治ることで、股関節が正常な位置に戻り、身長が伸びる。
③猫背などの姿勢が改善されることで、本来の身長に戻る。
などが挙げられています。

なるほどなぁ~と感じるかもしれませんが、よくよく考えるとたくさんの矛盾があるのです。


①O脚矯正
骨は大きな力を長期間にわたって加えなければ形を変えません。
たかだか数十分の施術でO脚などの骨の形が矯正されることはないのです。
無理に力を加えた場合、骨折や靭帯の損傷などにつながる恐れもあります。
骨盤矯正などの施術でO脚は矯正されませんので、身長が伸びることはありません。
O脚を無理なく矯正するには、太ももの内転筋群を鍛えるなどの長期的な努力が必要です。

②骨盤のゆがみが治って身長が伸びるという理論も医学では説明がつきません。
骨盤や股関節は脱臼や骨折でもしない限り、異常な位置にずれるという事はあり得ませんから、「骨盤のゆがみを治して身長が伸びる」というのは整体師の作ったウソ理論と言えます。
そもそも股関節は人体で最も大きな靭帯に守られていて、交通事故や先天性の脱臼などがない限り、正常な位置からずれるという事はありません。

③姿勢の改善についてですが、ストレッチや姿勢改善指導などで一時的に姿勢が改善されれば、立ち姿が美しく見えますから、身長が伸びたように感じるのはあると思います。
でも、それは根本的に身長が伸びたわけではないですよね?
「身長を伸ばしたい」というコンプレックスを持って骨盤矯正を希望する方が満足する結果ではないはずです。

これらをまとめると、
骨盤矯正で身長が伸びることはないと言えます。

ではなぜ実際に骨盤矯正を受けて身長が伸びたという人がいるのでしょうか?
 
  • 姿勢の改善で身長が伸びたように見える
  • 測り方が間違っている
  • 気のせい
などなどあると思いますが、一番のカラクリは「椎間板」にあると考えます。

首から腰にかけての背骨の間には、には、椎間板というクッションの役割の組織があります。
椎間板は骨組織に比べて柔らかく、体重などの力が加わるとつぶされて薄くなります。
すべての椎間板の厚さを合計すると、脊柱の長さの1/4程を占めるといわれていますので、朝と晩では身長が5センチも違うという事があるのです。
(一晩ゆっくり寝れば、体重の負荷から解放された椎間板は徐々に元に戻ります)
 
骨盤矯正を受けている間、数十分は施術ベッドに横たわった状態になり、椎間板にかかる体重が分散されます。
加えて、ストレッチやマッサージなどで筋肉に緊張がほぐれ、骨にかかる張力が軽減されます。
施術が終われば、つぶれていた椎間板は少し元に戻っている可能性があるのです。
 
ですから、骨盤矯正施術前と施術後に身長を測ると、身長が伸びる人もいます。
でも、これは身長が伸びているといえるでしょうか?
ただ、ぐっすり寝た後の朝の状態に戻っているだけですね。
もともとの身長は変わらないのです。
 
 
筋肉の弛緩や測り方のマジックで伸びたように感じても、それは一時的なものです。
次の日になれば元どおりです。
 
整体院では「一度ではすぐに戻ってしまう。何度も継続して骨盤矯正を受けることで身長が伸びた状態に安定する」などといった説明をされますが、何度骨盤矯正を受けても身長が伸びることはありません。
お客さんを何度もリピートさせるためにそう言っているのです。
 
 
成長期であれば、バランスの良い食事、適度な運動、日光を浴びる、夜更かしをしない、など、まだまだ身長を伸ばすまっとうな手段はたくさんあります。
大人の場合も、20歳を超えてから身長が延びる人もいますから、規則正しい健康的な生活習慣は大切なのです。
 
骨盤矯正で身長が伸びることはありませんから、無駄なお金と時間を使わないようにしてください。