骨盤矯正で猫背は治るか?

人間の背骨は、横から見るとS字状にカーブを描いています。

首の骨は前に弯曲(前弯)
背中の骨は後ろに弯曲(後弯)
腰の骨は前に弯曲(前弯)

といった具合に曲がっていることで、頭の重さや上半身の重さをしなりで受け止めることができるのです。


一般的に猫背と言われる状態は、背中の骨の後弯が強くなった姿勢です。
それに伴って、首の骨と腰の骨の前弯が弱くなり、まっすぐに近い形になっています。

首の骨と腰の骨の弯曲が弱まると、体重を支えるためのしなりが少なく、筋肉や骨に負担がかかります。
特に、前弯が弱くなった首の骨は「ストレートネック」と言われ、頑固な肩こりを引き起こします。
腰の骨に関しても、慢性腰痛や椎間板ヘルニアなどの状態になってしまう事もあるのです。


骨盤矯正で筋肉がゆるんだりストレッチされても、猫背に対する効果は一時的なものです。

猫背の最も大きな原因は、日常的な姿勢不良や筋力低下にあります。
普段から姿勢に注意したり、肩甲骨を後ろに引くなどの運動を心がけることが重要です。

ちなみに、猫背と言っても、背中だけが曲がっているわけではありません。
背中の骨は肋骨があり、内臓を守るような構造になっているため、首や腰のように大きく動くことはありません。
背骨は首・背中・腰が連結し、それぞれバランスをとって成り立っているので、首・腰の骨の影響はとても大きいのです。

パソコン作業などで顎が前に突き出たような格好になると、首の骨に引っ張られ、背中の骨も丸くなります。
背中に意識を向けるというよりも、首や腰の姿勢を意識した方がいいでしょう。

骨盤矯正を何回受けても、猫背が自然と矯正されてまっすぐになるという事はありません。

同様に、猫背を強制するサポーターやバンドなども、装着している間はまっすぐに見えますが、根本的な解決にはなりません。




弯曲が強く表れてしまう原因の一つに、加齢があります。

背骨は
  • 首の骨が7個
  • 背中の骨が12個
  • 腰の骨が5個
の計24個の骨がつながってできています。
その一つ一つの骨の間には、椎間板というクッション組織があり、骨と骨がぶつからないようになっています。

しかし20歳を超えたあたりから椎間板は体重に圧迫され、徐々に薄くヘタっていきます。
70歳を超えるようになると、筋力の低下と骨密度の低下が合わさり、骨はつぶれて変形し、いわゆる「腰が曲がった状態」になってしまいます。

背中の骨も同様で、骨自体が変形を起こし、飛び出たように背中が丸くなります。
このようにして猫背になってしまった状態は、簡単には元に戻りません。
もちろん、骨盤矯正を受けても姿勢がまっすぐになることはありません。

むしろ、60歳以上、特に女性に対しては矯正のような骨に力を加える施術は控えた方がいいでしょう。
骨折などの事故につながる恐れがあります。




生まれながらに背骨が曲がっている病気もあります。

脊椎側弯症(せきついそくわんしょう)などです。

正常な背骨は前後から見ると弯曲がなく、ほぼまっすぐに見えますが、側弯症では背骨が左右に曲がった状態になっています。

脊椎側弯症は、レントゲンを撮ることで診断されます。

側弯症は子供の頃に強く見られ、その後成長と共に少しづつ改善されていく傾向があります。

あまり弯曲が強い場合は、コルセットの装着や手術の適応となりますが、完全にまっすぐになることは難しいと言えます。

整体やマッサージなどは、側弯症に伴う背中の痛みなどを軽減する場合がありますが、弯曲そのものを矯正する効果はありません。

骨盤矯正などで脊椎側弯症に対応すると掲げているところもありますが、注意が必要です。